オージーのソウルフード、ミートパイのおいしさ発見!
こんにちは、シドニーナビです。
B級グルメファンのみなさま、お待たせいたしました(笑)オーストラリアの定番料理として挙げられながら、ガイドブックなどではほんの片隅に紹介されるだけの「ミートパイ」。カフェやベーカリー、パブ、コンビニ、スーパーなどどこにでも売られていて、オーストラリアにはずっと昔からある、手軽で最もポピュラーな食べもの。旅行者のみなさんも滞在中は一度くらいは食べてみたいはず。でもオーストラリアのミートパイってどんなかんじ?どこで食べても違いなんてそんなにあるの?!と思ったあなた、ぜひぜひ参考にしてみてくださいね!
ミートパイあれこれ
熱々のうちに召し上がれ!
Q: オーストラリアン・ミートパイとは? A: 角切りやミンチの肉とたっぷりのグレービー・ソースをパイ生地に包んで焼き上げたもの。肉はビーフが定番ですがラムやチキン、種類によっては玉ねぎやマッシュルームが入っています。トマトソース(ケチャップ)をかけて食べるのがオージー風。
一般的にメニューにステーキ、チャンキー、ブリスケットとあれば角切りの肉が入ったミートパイで、グラウンド、プレイン、トラディショナルとあればひき肉を使ったミートパイのことを指します。最近ではカレー味やクリームソースなどのミートパイもあります。
オーストラリアの名物ミートパイを食べに来た有名人たち。
Q: ミートパイの歴史とは?A: オーストラリアの開拓者であるイギリス人がもともと家庭で食べていたミートパイ。当時は野菜よりも値段が安かったウサギや羊の肉が使われていたそう。1800年中頃にはパブのランチ食として、そののちにはカートに炭火ストーブを積み温めたブリキ缶(今でいうパイ・ワー マーですね!)に入れたミートパイを売り歩く「パイ・マン」と呼ばれる人たちがシドニーの路地で販売をしていたそう!
ミートパイ・コンテストももちろんあります。堂々のトロフィー!
Q: オージーにとってミートパイとは?A: オーストラリアは世界一のミートパイ消費国。その数は年間で2億7千個、平均すると年にひとり12個のミートパイを食べているとか。国の食品基準機関のHPにもミートパイについての記述があったり、2003年にはニューサウスウェールズ州の首相だったボブ・カーが「ミートパイはオーストラリアの国民食である!」と宣言しちゃったそうです^^
開拓時代からずっと食べられてきたミートパイはオージーにとってまさにソウルフードと言えるのかも。
さてさて、今回ナビはミートパイの特集記事やフードコラムなどで取り上げられることの多いお店の中から、旅行者にもアクセスしやすい4店をセレクトし、各店で最も人気の高いメニューを食べ比べてみました。それでは、さっそくいってみよ~!
ハリーズ・カフェ・デ・ホイールズ Harry's Cafe de Wheels
ウルムルーの埠頭にハリーズの小さなお店はあります。
多くのガイドブックで紹介されている超有名店の「ハリーズ・カフェ・デ・ホイールズ」。シドニーの東側、ウルムルーにある通称「ハリーズ」のミートパイがなぜそんなに有名なのか?実はハリー氏がホイール付きのキャラバンでミートパイを売り始めたのは65年以上も前のこと。すぐに口コミでそのおいしさが広がり、以来ずっとウルムルーの同じ場所にハリーズはあります。もうひとつ、この小さなお店を過去に訪れた有名人の数々。古くはフランク・シナトラからエルトン・ジョン、ラッセル・クロウやケビン・コスナー、ブルック・シールズなどなど、お店の壁にはたくさんの写真が飾られています。チキンで有名なあのカーネル・サンダースがミートパイを両手で持ってパクついている写真も!
こちらがハリーズで一番人気のメニュー「タイガー(Tigar)」です!
出来上がったミートパイを手にしてちょっと驚くのがその大きさ。ミートパイって普通5~6センチの高さなのですが、タイガーはその上にマッシュしたポテトとグリーンピースがのっていてゆうに10センチはあるでしょうか。そのトッピングでつくったくぼみにたっぷりのグレービーがかかっています。
ハリーズ秘伝のグレービー・ソースだそうですよ。
う~ん、このパイの食べかたはどうしてもまん中から突き崩していくしかないですよねぇ。お味のほうは初めグレービーがちょっとちょっぱいかなと思ったのですが、それがマッシュポテトとグリーンピースの甘さをひきたてている感じ。そしてミートパイは肉汁がたっぷりで角切りのお肉もちゃ~んと入っています。
でも上のトッピングのせいでパイ生地がしっとりとしていてサクサク感がないかなー、と思いつつもフォークは止まらず(笑)、あっさり完食。
お店のイスは少ないので、近くのベンチに腰掛けて。
周りを見回すと、みなさん壁に貼ってあるたくさんの写真から自分の知っている有名人を探したり、お店の前でミートパイを片手に写真を撮ったりと食事以外にも楽しんでいるようす。とにかく話題性は一番。話しのタネになること間違いなし!
「ハリーズ本店、タイガー」の評価、ナビが独断と偏見で勝手に付けた星の数はこちら(^^:)
Tigar Beef ($6.20)味:★★☆
パイ生地:★☆☆
アクセス:★☆☆
話題性:★★★
パイ・フェイス Pie Face
こちらはサーキュラー・キー店。
次にご紹介するのは、シドニーに来たら誰でも目にするであろう赤い看板にユニークな白い文字のパイ・フェイス。シドニーに20店舗(ジョージ・ストリートだけで4店舗!)もあって、あのかわいらしい看板が目につきやすいというのもあるのでしょうが、なんだかどこに行っても見かけるような印象があります。国際線、国内線両方の空港ターミナルにもありますから、とにかく旅行者にとって一番手軽に立ち寄れるお店。
顔・顔・顔。みんな寝てますね(笑)
ミートパイってお店に並べられているのは特にトッピングもなく、中身はいろいろと違うのでしょうが、どれもおんなじ見た目。。そのなんの特徴もない平らなパイの上にチョンチョンと目と口を書いただけで、ミートパイの丸いかたちがじつに顔にぴったり^^しかも、ステーキ&マッシュルームは目が横向きの「S」に、口が「M」、ベジタブルは口が「V」になっていたりして、表情がひとつずつ違うのが楽しいですよね。
パイ・フェイスでは「ステーキ+マッシュルーム(Steak+Mushroom)」をチョイス!100%オージービーフを使い、グレービーソースはビーフストックとオニオン、赤ワインを煮詰めたもの、らしいです。
お味のほうはというと、とろっとろのグレービーソースは程よい塩加減、お肉はステーキというほどの大きさではありませんがしっかりと入っています。ただ、マッシュルームの存在感はゼロ(笑)パイ生地は油っぽくもなくサクサクッと食べられる感じです。この味がキライっていう人はいないんじゃないでしょうか。
それぞれのミートパイに使っている全ての材料と栄養価や、フィリングについての説明書きが表示してあったりして、自分好みの味を探せるのがよいですよね。ミートパイのテイクアウェイって普通そのまま紙袋に入れて渡されるので、食べているうちにどうしても手に油がつくのですが、パイ・フェイスの場合は紙の箱に入っていて、その上食べやすいように箱に切れ目が入っているんです。メニューもミートパイのミニサイズがあったり、アップルやフルーツの甘い系パイがあったり、特に女子にはおススメかも。わざわざお店を探しに行く時間はないけど、一度ミートパイを食べてみたいってかたは目に付いたパイ・フェイスへGO!
Steak + Mushroom ($5.75)
味:★★☆
パイ生地:★★☆
アクセス:★★★
話題性:★★☆
ディンキー・ダイ・パイズ&ペーストリー Dinky-Di Pies & Pastries
タウンホールやサーキュラー・キーからは15分ちょっと歩きます。
次に行くのはオージーの友人にもイチ押しされた「Dinky-Di Pies & Pastries(ディンキー・ダイ・パイズ&ペーストリー)」というお店。調べてみると友人が言っていたローズベイのほかにキング・ストリート・ワーフにもあるようなのでそちらに行ってみました。探してみると、海沿いではなく2ブロックほどシティ側に進んだShelleyストリート、ホテルIbisのお隣りにありました。
店構えはシティにある普通のカフェで、ビルの1階に入っていてあまり大きくはありません。内装はちょっぴりフレンチ風。近くのオフィスで働く人達がテイクアウェイかランチで立ち寄りササッと食べて出て行く感じです。ほとんどのテーブルとイスはお店前の歩道にありますが、屋根も付いているし広さも結構あるので問題なし。外壁には冬用のヒーターも付いていましたよ。
今日はお天気もよいので外テーブルで、友人おススメの「チャンキー・ビーフ・バーガンディ(Chunky Beef Burgany)」をオーダーしました。イート・インなので温めたパイをプレートにのせてナイフとフォークを一緒にくれます。
受け取ったパイはずっしりとした重みがありパイ生地もしっかりとしているようです。
まずパイのフタ(?)を開けてみるとこの肉の大きさ!パイ生地のお皿にごろごろお肉のビーフシチューが盛られているよう。さてお味のほうはというと?
見てください。このパイ生地の層を!
おいしぃ~!チャンキー・ビーフというよりキューブというような大きいビーフのかたまりは臭みもなく噛むとしっかりお肉の味。ほろほろとくずれる柔らかさです。ソースはグレービーというよりまさしくビーフシチューのような味わい。パイ皮もサックサクで香ばしい!
次に来たらステーキ・ミートパイを食べてみようかな。ナビ、ここのミートパイにはちょっとはまりそうです。とにかく味を追及するというグルメなかたにはおススメの一品!
Chunky Beef Burgany ($5.75)味:★★★
パイ生地:★★★
アクセス:★★☆
話題性:★☆☆
バーク・ストリート・ベーカリー Bourke Street Bakery
最後にご紹介するのはサリーヒルズのバーク・ストリートにある「バーク・ストリート・ベーカリー(Bourke Street Bakery)」。シドニー、特に東部に住むシドニーっ子なら知らない人はいないという評判のベーカリーショップです。いつも混んでいる人気店という噂は聞いていましたが、ナビは今回行くのが初めて。日曜の午後、閉店1時間前の4時ころ訪れました。
セントラル駅から閑静な住宅街を歩くこと15分。すると先のほうに人だかりが見えてきてすぐにわかりました。ベーカリーなので店内は非常にせまいですが、外の広い歩道に8~10つほどのテーブルが並べられています。
店内は混み混み。
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順番が来たら悩まず注文するのが難しそう。
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メニューはパイや焼き菓子、ブレッドが中心でキッシュやサンドイッチなどもありますが、ほとんどショーケースから取り出して売っているので、並んでいても順番はすぐ回ってきます。
ナカナカの大きさ!
ここでは「ビーフ・ブリスケット・レッドワイン&マッシュルーム・パイ(Beef Brisket Red Wine & Mushroom Pie」を注文。温めてからかわいいアルミみたいなお皿に乗せてくれました。パイ自体のつやと焼き色がすばらしい。ミートパイのお手本みたい!上にシードもトッピングされていて、見た目がとってもおいしそうです。
このボリュームで5.3ドルはかなり安いと思います!
割ってみると、おぉっソースが赤っぽい。お肉とマッシュルームの形もちゃんと残っています。食べてみると、この赤みはトマトソースかな?ちょっぴり酸味のあるデミグラソースのような風味で、女の人は好きな味かも。そして、やっぱりパイ生地がおいし~。香ばしくて軽いんですがサクサク感だけでなくしっかり層になっていて噛むとパイ生地の甘さが口に広がります。この甘さがちょっと酸味のあるソースとマッチしていて、これはもう手で持ってガブリと食べちゃいたい(笑)
次はぜひスイーツも食べてみたい・・
それにしてもお店はあと30分で閉まるというのにまだ次々とお客さんがやって来ます。犬の散歩の途中でテーブルにいたご近所さんとおしゃべりが始まったり、バイクでやってきて買ったミートパイをその場でむしゃむしゃと(3分でww)食べて去っていく人がいたり、ローカルがお気に入りで通うお店という雰囲気です。お店の名前にもなっているバーク・ストリートにはサイクリング用道路があって、レンタル自転車屋さんがあるウルムルーから続いているようです。サイクリングがてらミートパイを食べに出かけるのなんていかがですか?
ローカルに人気のおしゃれなベーカリーでおいしいミートパイを食べたいかたはココへ!
Beef Brisket Red Wine & Mushroom Pie ($5.30)
味:★★★
パイ生地:★★★
アクセス:★☆☆
話題性:★★☆
いかがでしたか?
今回はご紹介した順番どおりに4つのミートパイを食べ比べてみました。もちろん同じ日に全て食べたわけではありませんが、続けて食べてみるとこんなにも味が違うのかと意外な驚きでした。従来のミートパイはひき肉にグレービーで、手軽にお腹が満たせるスナックのようなものでしたが、今は肉も大きめでソースも味を追及したグルメ・ミートパイが流行っているようです。最近ではオージービーフではなく和牛ビーフを使ったちょっと高めのミートパイも売られているそうですよ。
数少ないオーストラリア料理(?)のミートパイ、シドニーに来たらぜひ食べてみてくださいね。それでは以上、ちょっとだけ体重の増えたシドニーナビでした~。
上記の記事は取材時点の情報を元に作成しています。スポット(お店)の都合や現地事情により、現在とは記事の内容が異なる可能性がありますので、ご了承ください。
記事登録日:2012-11-14